アナンタ
アナンタは『インド神話』に登場するナーガの王(ナーガラージャ)の一人。
名前には「無限」・「永遠」の意味があり、世界の始まりと終わりに現れるとされた。
その姿は千の頭を持つ巨大な蛇で、千の頭の一つ一つに”卍(まんじ)”の印がついている他、「イヤリング」や「王冠(おうかん)」、「花冠(はなかんむり)」を身につけた姿だという。
大きさは「宇宙」と同程度だと言われており、宇宙を破壊する役割も担っている。
ちなみにアナンタはナーガの王(ナーガラージャ)・シェーシャと同一視されることが多く、シェーシャの別名ともされる。
アナンタの神話
世界を創造する以前、全ては「原初の水」に覆われていた。
そんな果てしなく続く「原初の水」に立つ先にはアナンタとヴィシュヌだけがポツリと存在した。
ヴィシュヌはアナンタを寝台(ベッド)代わりに永く眠っていたが、あるときヴィシュヌがふと目を覚ますと”世界の創造”を始めた。
そしてこの世界が創られたという。
ちなみにこの世界(宇宙)の終わりが来るとヴィシュヌとアナンタだけが生き残り、再び”世界が創造される”までの間「原初の水」の上を漂うという。
女神転生シリーズにおいて
初登場は『真・女神転生(1987年)』。種族は”龍神”。
シリーズではHPが高く、補助や回復役またはサブアタッカーとして優秀な悪魔。
『DIGITAL DEVIL SAGA アバタール・チューナー(2004年)』ではラストダンジョンの最上位、地表6656mで戦うことになるボスとして登場。
アナンタの関連動画
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ヴリトラ
ヴリトラは古代インドの聖典『リグ・ヴェーダ』、叙事詩『マハーバーラタ』などで伝えられる巨大な「蛇の怪物」または「人型の龍」。
※『リグ・ヴェーダ』は古代インドの聖典。
紀元前15世紀~紀元前13世紀にかけて成立したとされ、全10巻からなる神々への讃歌集となっている。
簡単に言うと、インドの神々を褒めちぎった詩集。
※『マハーバーラタ』は古代インドの叙事詩(じょじし ※英雄や神が活躍する壮大な物語のこと)。
紀元前4世紀ごろ~紀元後4世紀にかけて現在の形が成立したとみられ、全18巻約10万詩節からなる大叙事詩。
簡単に言うと、インドの神々や英雄の活躍を描いたもの。
その名は「障害」、「遮蔽物」、「囲うもの」などを意味し、「天地(宇宙)を覆い隠すもの」とも呼ばれる。
『リグ・ヴェーダ』においては山中の水を閉じ込めて干魃(かんばつ)を起こす存在として登場。
人々に助けを求められたインドラの敵として激闘を繰り広げたが、インドラの武器である「ヴァジュラ(稲妻)」によって殺害された。
ヴリトラが倒された事で山中に閉じ込められた水が解放され、この功績によりインドラはヴリトラハン(ヴリトラ殺し)の異名を得た。
しかしヴリトラは毎年蘇る事から両者の戦いは何度も繰り返されたという。
そのためヴリトラは「繰り返される自然現象」として象徴された。
後にこの物語がインドラの「讃歌(さんか)」として挙げられた。
女神転生シリーズにおいて
初登場は『デジタル・デビル・ストーリー 女神転生Ⅱ(1990年)』。
種族“怪獣”の上位悪魔として登場。
作品によって種族が”龍神”・”龍王”・”邪龍”などと異なることが多い。
実はメガテンシリーズでかなりの登場率を誇るのだが、ストーリーやサブストーリーなどにあまり絡まないため存在感は薄い。
ヴリトラの関連動画
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ウロボロス
ウロボロスとは、”ヘビ”もしくは”竜”が自身の尾をくわえ、円環となった姿で表される「紋章」のこと。
古代の象徴の1つであり、1匹が輪になって自分で自分を食(は)むタイプと、2匹が輪になって相食(あいば)むタイプがある。
意味としては
・「世界」
・「完全性(全知全能)」
・「循環性(永劫回帰)」
・「永久性(死と再生)」
・「無限性(不老不死)」
と数多くの意味を持ち、「自己回帰」の象徴として多くの文化・宗教において用いられてきた。
発祥の地は定かではないが、古代エジプト文明から生まれたというのが有力な説。
デザインの由来
「蛇(ヘビ)」は脱皮することで古くなった肉体を捨て、大きく成長して新しい肉体を得たり、長期の「飢餓状態(きがじょうたい ※長期間にわたり十分に食べられず、栄養不足となること)」にも耐える強い生命力から、「死と再生」「不老不死」の存在として古来より考えられていた。
その「蛇(ヘビ)」が自らの尾を飲むことにより、始まりも終わりも無い完全なものとして生み出された姿がウロボロスである。
女神転生シリーズにおいて
『デビルサマナー ソウルハッカーズ(1997年)』で初登場。
『真・女神転生 STRANGE JOURNEY(2009年)』では、HPの高い強敵ボスとして苦戦させられる。
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ペンドラゴン
ペンドラゴンは『アーサー王伝説』に登場する”概念”としての龍の王。
名前には
・「龍の頭」
・「最大の龍」
・「戦士たちの長」
・「最高位の統治者」
という意味を持ち、『アーサー王伝説』に登場するアーサーとアーサーの父であるユーサーの別名としても用いられた。
※『アーサー王伝説』は中世のヨーロッパを舞台にした「騎士道物語」。
5~6世紀にかけて「ブリテン(現在のイギリス)」に実在したという英雄・アーサー王を中心とした長編物語。
ストーリーは大きく四つの部分に分けられる。
1.アーサー王がローマ皇帝を倒し、「全ヨーロッパの王になる物語」。
2.アーサー王のもとに集った【円卓の騎士達】の「冒険とロマンス物語」。
3.イエス・キリストが最後の晩餐で使ったという”聖杯”を「【円卓の騎士】が探す物語」。
4.【円卓の騎士】の中でも最高の騎士であるランスロットと、アーサー王の王妃・グィネヴィアの禁断の恋愛関係から発する「内乱の物語」。
そして「王国の崩壊」とアーサー王の死。
ペンドラゴンの誕生
アーサーの父であるユーサーが「サクソン人」と戦っていた際、「燃える炎のような2つの彗星」が流れた。
※「サクソン人」は「ブリテン(イギリス)」に攻め入ってきた異民族のこと。
「一体あの彗星は何を意味するのか」 とユーサーは魔術師・マーリンを呼んで尋ねる。
そこでマーリンは「サクソン人」に勝たねばならぬことと、あの星の筋がユーサーから生まれてくる息子が立派な王になること。
そして子孫は皆「ブリテン(イギリス)」を治めていくことを示していると語った。
やがてユーサーは「サクソン人」に勝利すると新たな「ブリテンの王」となり、このことを記念して「燃える炎のような2つの彗星」を「火の竜の星」として見立て、「二匹の黄金の竜の紋章」を”国の象徴”として作った。
これがペンドラゴンである。
そしてこのペンドラゴンは「王の称号」であるとも考えられるようになり、別名として王となった者には名前にペンドラゴンがつけられるようになったという。
・ユーサー・ペンドラゴン
・アーサー・ペンドラゴン
など
※この時代に苗字とかはないので、あくまで「称号」や「ニックネーム」のようなものとして扱われている。
ちなみに現在のイギリスでも「騎士の盾や紋章」などにペンドラゴンが残されている。
女神転生シリーズにおいて
初登場は『真・女神転生(1992年)』。
”龍王”種族の悪魔の中で、最高レベルで登場する。
その後は登場せず、かなり時間が経って『真・女神転生IV(2013年)』に登場。
高いレベルの”龍王”種族として登場した。
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ユルング
正式名称はユルルングル。
『オセアニア神話』に伝わる”気象”を司るとされる豊穣の神で、善悪を超越した偉大な存在。
※ オセアニアは「六大州」の一つ。大洋州のこと。
「日本」、「台湾」、「フィリピン」、「インドネシア」および、「ガラパゴス諸島」、「アリューシャン列島」まで含まれる。
広範囲の神話ということ。
その姿は「銅の体」を持つニシキヘビで、首を伸ばせば天に届くほどに大きいとされる。
また、虹色に輝く聖なる泉の底に棲んでいることから「虹の蛇」とも呼ばれている。
ユルングの神話
ユルングにはこのような伝承が伝わっている。
ある時、自身の子孫に当たる人間の姉妹が泉に「経血(けいけつ)」を落とした。
※「経血(けいけつ)」は不要になった子宮内膜がはがれ落ち、血液と共に体外へ押し出されたもの。
その臭いで目覚めたユルングは起きた勢いで「洪水」を引き起こし、勢い余って姉妹とその子供たちを呑み込んでしまう。
そのあと「蛇(へび)」による集会が開かれ、ユルングは自分の子孫を呑み込んでしまったことを告白し、死んでしまったかもしれない彼女らを吐き出すことを約束する。
そしてユルングは”人間の姉妹とその子供”たちを吐き出すと、ユルングが所持する魔法の「ディジュリドゥ(アボリジニ伝統の管楽器)」が独りでに鳴り響いた。
すると蟻(アリ)たちが”姉妹”と”子供”たちに噛みついて蘇生させたのだった。
というもの。
この伝承から「アボリジニ」の一部の部族では「成人の儀式」として嘔吐(おうと)を経験することになっている。
※「アボリジニ」は、オーストラリア大陸と周辺の島の先住民のこと
女神転生シリーズにおいて
メガテンでは空中で浮遊してうねうねしている。
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ヤマタノオロチ
ヤマタノオロチは『古事記』に登場する巨大な”邪龍”。
※『古事記(こじき)』は西暦712年に執筆されたという『日本神話』を含む歴史書。
上中下の3巻。
「天地開闢(てんちかいびゃく)」から始まって「天孫降臨(てんそんこうりん)」に至るまでが叙述されている。
※「天地開闢(てんちかいびゃく)」とは、世界の始まりのこと。
「天」と「地」はもともと一つの混沌としたものであったが、あるときこの二つが分かれたという。ものすごい前の時代ってこと。
※「天孫降臨(てんそんこうりん)」とは、アマテラスの孫である「邇邇藝命(ににぎのみこと)」が「葦原の中津国(あしはらのなかつくに ※地上の世界)」を治めるため「高天原(たかまがはら ※天上の世界)」から地上へ降臨した神話のこと。
その姿は山を越えるほどの巨体で、8つの頭と8つの尾を持ち、背には「苔(こけ)」・「虫(むし)」・「樹木(じゅもく)」が生え、腹はいつも人の血でただれていたという。
ヤマタノオロチは村を襲っては毎年「娘」を生贄として要求していたが、スサノオが「高天原(たかまがはら ※天上の世界)」から追放されて「出雲の国(※島根県)」にたどり着いたときに、ある老夫婦の依頼で討伐された。
(罠である酒にはまり、酔ったところをスサノオに倒された。)
その際にヤマタノオロチの尾から出てきた剣が「※天叢雲(あめのむらくも)の剣」である。
※「天叢雲(あめのむらくも)の剣」は、ヤマタノオロチの尻尾から出てきた剣。
現在では名前が変わり、「草薙(くさなぎ)の剣」と命名されている。
「三種の神器」のひとつであり、「天皇家」における武力の象徴。
女神転生シリーズにおいて
メガテンでは中級悪魔といったところでサイズも小さい・・・。
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ゲンブ
玄武(ゲンブ)。
中国古代から多くの神話などで語られている伝説上の生き物で、「四神(しじん)」の一柱。
※「四神(しじん)」とは中国の神話において、天の四方の方角(東西南北)を司り、守護している4体の霊獣のこと。
ゲンブは「北」の方角を守護し、季節では「冬」を司る。
「※五行思想」においては「水」に対応し、「黒色」と関係する。
※「五行思想」とは古代中国の「自然界」の理を解く思想。
万物は
・「木(もく)」
・「火(か)」
・「土(ど)」
・「金(こん)」
・「水(すい)」
の「五要素」で構成され、この5つの要素が循環することであらゆる「現象」が発生するとされる考え方。
「四神」とかかわりが深い。
その姿は黒の体色をした脚の長い「亀」に、合体した「蛇」が巻き付いた形で描かれることが多い。
未来を見通して知恵を授け、時には人間に化身して魔と戦うとされる。
相対する方角にはスザクがおり、一説ではこれが「鶴亀(鶴は千年、亀は万年の寿命を持つと言われ、長寿や繁栄を象徴することわざ。)」の由来であるという。
ちなみに昨今のカルチャーにおいては「強さ」のイメージこそ上位の印象はないが、実際は玄武こそが四神最強最古であり、「最上位」として本場「中国」では信仰されている。
日本では他の「四神」に比べて馴染みが薄いが、中国では非常に人気が高い神の一柱。
女神転生シリーズにおいて
メガテンシリーズにおいては氷結スキルを持つ中位悪魔。
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ナーガラジャ
ナーガラジャの関連動画
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ナーガ
『インド神話』に登場する半人半蛇の神。
「コブラ」が神聖視されて崇められるようになったとされ、”再生”や”復活”を司る。
各地の伝承によって「蛇」そのものであったり、「頭が7つある蛇」や、「下半身が蛇である人間」であったりと様々に描かれる。
女性系はナーギーもしくはナーギ二ーと呼ばれ、神鳥ガルーダとは敵対関係にある。
強力無比な毒を有し、敵対者を死に至らしめると同時に、信奉する者に対しては祝福を与えて毒の害から護る。
その性質は人間同様多彩であり、”神の随行者たる”ナーガ、”人間と苦楽を共にする”ナーガ、”万物に害を為す”悪のナーガなど様々。
戦いのない時は「歌」と「踊り」に明け暮れており、「河川」、「湖」、「海」などの底にある「楽園」に棲んでいるという。
女神転生シリーズにおいて
メガテンシリーズにおいては序盤のザコ悪魔としてよく登場していて、仲魔にすれば序盤においては頼りになるやつ。
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