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カロンは『ギリシア（ギリシャ）神話』に登場する「冥界」の渡し守。

（正式な発音はカローン）

暗黒の神・エレボスと夜の女神・ニュクスの息子で、その姿は手に小舟をこぐための櫂（かい※オールのこと）を持ち、ボロボロの服を着た光る眼を持つ長いヒゲの無愛想な老人。

常に獣の皮で作られた小舟に乗っており、「冥界」と「現世」の境界線にある川・「アケローン川（またはステュクス川）」から死者の魂を乗せて「冥界」へと運ぶ役割を担っている。

ちなみに渡し賃として古代ギリシアの銀貨である「1オボロス」を要求してくるため、渡し賃を持たない死者の魂は後回しにされて小舟に乗ることができず、200年間さまよわなければならないとされた。

※「1オボロス」の正確な金額はわからないが、現代の価値に換算すると、約180円～300円程度。

電車賃ぐらい。

（10円ぐらいともいわれたりする。）

カロンの『神話』

１．オルフェウスの歌に感動。

基本的に「生者」は船に乗せず、金のない者も追い払うが、例外的に自ら船に乗せることがある。

『ギリシア（ギリシャ）神話』に登場する「吟遊詩人」・オルフェウスが死んでしまった妻・エウリュディケを「冥界」から連れ戻そうと訪れたときには、彼の竪琴と切ない歌声に魅了されて感動。

無料で「冥界」へと彼を舟で送り、「冥界の王・ハデスの館」ではもっとその歌を聞こうと彼の後を付いて行ったという。

２．尊い贈り物に機嫌を良くする。

『ギリシア（ギリシャ）神話』に登場する半神の英雄であるアイネイアスが、死んでしまった父・アンキセスから未来を聞く為に訪れた。

そのときにアンキセスは巫子・シビュレーの協力で冥界の女王・ペルセポネーに捧げる「聖なる黄金の枝」を持っており、それを見た彼は機嫌をよくして、アイネイアスを「冥界」へと運んだという。

３．ボコボコにされて…

『ギリシア（ギリシャ）神話』に登場する半神の英雄・ヘラクレスが「12の功業」でケルベロスを捕獲するために来た際には、ヘラクレスの圧倒的パワーでボコボコに。

恫喝されて「冥界」へと出航を許した。

※「12の功業」とは、ヘラクレスが女神・ヘラによって気を狂わされて妻子を殺してしまった罪を清めるための試練。

（ヘラクレスはヘラの夫であるゼウスの愛人の息子なので、彼女はヘラクレスに嫌がらせをしまくっている。）

そこでヘラクレスは妻子を殺してしまった罪を清めるために、太陽神・アポロから神託を受けた。

それは

「ミケーネ王・エウリュステウスに仕え、10の勤めを果たせば罪を清められる」

といったもの。

（エウリュステウスは王となっているが、ヘラが人間界に派遣した神。しかもヘラクレスに恨みを持っている。）

そこでエウリュステウス王に仕えることになったが、王から無理難題な10の不可能な試練を与えられて「完璧に遂行せよ」と命じられたものがコチラ。

試練一覧

1. ネメアの獅子退治
2. ヒュドラ退治
3. ケリュネイアの鹿の捕獲
4. エリュマントス山の猪の捕獲
5. アウゲイアースの家畜小屋掃除
6. ステュムパーロス沼地の怪鳥退治
7. クレータ島の牡牛の捕獲
8. ディオメデスの人食い馬の退治
9. アマゾネス族の女王・ヒッポリュテの腰帯の強奪
10. ゲリュオンとの戦い

それでもなんやかんやヘラクレスがクリアしていくので、いつのまにか数が増えて「12の試練」になった。

11. ヘスペリデスの庭にある「黄金の林檎」の奪取
12. 番犬ケルベロスの捕獲

ちなみにヘラクレスを通した失態をハデスに知られると、ハデスによって1年間鎖に繋がれる罰を与えられたという。

（かわいそう）

４．２枚の貨幣で現世へと返す

人間であるプシュケイが美の女神・アフロディーテの息子・エロスと結婚する為の試練の一つとして、冥界の女王・ペルセポネーの美しさを分けてもらってくるよう命じた。

（ペルセポネーの美しさを化粧に使えるらしい）

冥界に行く為に高い塔から飛び降りようとしたプシュケイだったが、いきなり塔が「口の中に渡し賃の貨幣（オボロス）を2枚含み、それぞれ1枚ずつを行きと帰りに使え」と助言してきた。

そしてプシュケイが「アケローン川（またはステュクス川）」に到着すると、カロンに渡し賃を渡して「冥界」でペルセポネーから美しさを分けてもらうことに成功。

帰りに残りのもう一枚のオボロスを使い、無事に現世まで往復したという。

女神転生シリーズにおいて

初登場は『デジタル・デビル物語 女神転生Ⅱ（1990年）』。

ゲームオーバーになると、主人公たちの前にカロンが登場してゲームを続けるかどうか聞いてくる。

YESを選ぶと「マッカ（お金）」が半分になり、最後にセーブした場所から再開できる。

これ以降のシリーズでもゲームオーバー時のお助けキャラとして登場。

地獄の沙汰もマッカ次第である。