イグドラジル
イグドラジルは『北欧神話』に登場する九つの世界を支える一本の巨木。
ユグドラシル(表記の揺れ)とも呼ばれ、『北欧神話』世界の中心とされる。
日本では世界樹(せかいじゅ)、宇宙樹(うちゅうじゅ)とも呼ばれる。
※「北欧」はヨーロッパ北部地方のこと。
・「 デンマーク」
・「スウェーデン」
・「ノルウェー」
・「フィンランド」
・「アイスランド」
の5か国をさすことが多い
※『北欧神話』に登場する九つの世界
1.アースガルズ(アース神族の国)
2.ヴァナヘイム(ヴァン神族の国)
3.アルフヘイム(妖精の国)
4.ミズガルズ(人間の国)
5.ヨトゥンヘイム(巨人の国)
6.ニザヴェッリル(小人の国)
7.スヴァルトアルフヘイム(黒い妖精の国)
8.ムスプルヘイム(炎の国)
9.ヘルヘイム(死者の国)
ただし「九つの世界」ははっきりしておらず、「スヴァルトアルフヘイム(黒い妖精の国)」は「ニザヴェッリル(小人の国)」と一緒にされたり、「ヘルヘイム(死者の国)」は「ニヴルヘイム(霧の国)」とも言われている。
この九つの世界がイグドラジルの中にあるとされるが、世界どうしのつながり・位置関係などはよくわからない部分が多い。
分かっていることは”とてつもなく大きい三つの根”が幹を支えており、その枝葉で世界の土台を支えているということ。
また頂上にはフレスベルグが棲んでおり、それぞれの根元には泉が湧いているとされる。
1.ウルドの泉
「ミズガルズ(人間の国)」の真下にある泉。
運命の三女神・ノルンが棲んでおり、イグドラジルに水を与えてお世話をしている。
2.ミーミルの泉
「ヨトゥンヘイム(巨人の国)」にある泉。
知恵の神であるミーミルが所持する泉で、水を飲むとあらゆる知恵を授かるとされた。
オーディンは右目を対価にこれを飲んだという。
3.フヴェルゲルミルの泉
世界の一番下に存在する「ヘルヘイム(死者の国)」にある泉。
ニーズホッグと無数の毒蛇が棲む醜悪な泉で、ニーズホッグがイグドラジルの根をかじって養分を得ている。
イグドラジルの最後
イグドラジルは「九つの世界」を混沌の時代から支えていたが、神々と”巨人族(多種族も含む)”たちが起こした戦争「ラグナロク」によって崩壊が始まった。
※「ラグナロク」は『北欧神話』における最終戦争のこと。
『北欧神話』の神々と”巨人族”たちが戦いを起こし、最終的に世界は滅亡し、多くの神々が亡くなった。
「神々の黄昏」とも呼ばれる。
そして最終的にスルトの持つ炎の剣「レーヴァテイン」によって焼き払われ、消滅してしまったとされる。
女神転生シリーズにおいて
初登場は原作小説の続編である『新デジタル・デビル・ストーリー(1990年)』。
前作で秘密裏に人間社会を支配するようになった魔族が、人間の生命エネルギー「マグネタイト」を収集するための街路樹という設定で登場した。
ゲームでは『真・女神転生Ⅱ(1994年)』で初登場。
種族”妖樹”の最上位で、ドラゴンと樹木が融合したようなデザイン(現在の画像)。
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ナルキッソス
ナルキッソスは『ギリシア(ギリシャ)神話』に登場する美少年。
非常に愛される美しい姿をしていたが、誕生した際には盲目の予言者テイレシアースによって「己を知らないままでいれば、長生きできるであろう」と予言された。
「ナルシスト」の由来とされ、その神話についてはいくつかの説がある。
「ナルシスト」とは自己愛が強い人のこと。
特徴
・自己評価が高すぎる
・目立ちたがり屋
・他人に興味がない
・根拠のない自信がある
・人に負けるのが嫌い
・外見ばかり気にしている
・劣等感を抱えている場合もある
自分を愛して陶酔している人のことを指し、精神分析用語の「ナルシシズム」を語源としている。
(「ナルシシズム」じたいが、ナルキッソスからきている)
自殺してしまうほどの美貌
若さと美しさを兼ね備えるナルキッソスは、愛と美の女神・アプロディーテーからの贈り物を侮辱する。
アプロディーテーはこのことに怒り、ナルキッソスを愛する者が彼を所有できないようにする。
そこで彼に恋をしていた青年アメイニアスは、ナルキッソスを手に入れられないことに絶望して自殺したという。
(女性からだけでなく男性からも愛されていた。この時代では普通。)
最も有名な説
ナルキッソスは多くの「女性」のみならず「男性」にも思いを寄せられたが、彼はまったく心を動かすことなく冷たくはねつけていた。
そんなあるとき、森の妖精(ニュンペー)のひとりであるエーコーがナルキッソスに恋をした。
しかし、エーコーはゼウスが浮気しているところを「歌」と「おしゃべり」によってヘラの監視から逃れさせたため、ヘラの怒りによって”自分では口がきけず、他人の言葉を繰り返すこと”のみ許されていた。
そのためエーコーはナルキッソスに対して彼の言葉を繰り返すことしかできなかったため、ナルキッソスは「退屈だ」としてエーコーを見捨てた。
そしてエーコーは悲しみのあまり姿を失い、ただ声だけが残って木霊(こだま)になってしまった。
ちなみにエーコーは、”繰り返す”という言葉の意味である「echo(エコー)」の由来。
やがてこれを見た復讐の女神ネメシスは、他人を愛せないナルキッソスに対して”ただ自分だけを愛する”呪いをかけた。
そして呪いをかけられたことを知らないナルキッソスを山にある泉に呼び寄せると、彼は泉の水を飲もうと身をかがめた。
そこで水面に映されたのは美しい自分の姿だったが、その姿を泉に住む美しい水の精だと思い、ひと目で恋に落ちてしまう。
口づけをしようと水面に唇を近づけたり、相手を抱きしめようと水の中に手を伸ばすが、相手の姿は消えてしまう。
しばらくするとまた水面に美しい姿が映るが、なんど手を伸ばしても触れることができない。
恋焦がれるナルキッソスは寝食を忘れて水面に映った自分の姿を見つめ続けると、やがて痩せ衰えて死んでしまった。
そしてナルキッソスが死んだ場所にはなぜか「水仙(すいせん)の花」が咲いていたという。
「水仙(すいせん)」が英語で「narcissus」と呼ばれるのは、この逸話に由来する。
女神転生シリーズにおいて
初登場は『デビルサマナー ソウルハッカーズ(1997年)』。
裸に赤い布を巻いた金髪の青年の姿をしており、頭に水仙を生やしたデザイン。
ナル男。
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