オオクニヌシ
正式名称は大国主命(オオクニヌシノミコト)。
大穴牟遅神(オオナムヂノカ(オオナムチ))、大物主命(オオモノヌシノミコト (オオモノヌシ)等多くの別名を持つ。
『日本神話』に出てくる国津神(くにつかみ)の一柱で、『日本書紀』では三貴子(さんきし)の一柱である スサノオの義理の息子。
『古事記(こじき)』では スサノオの六代目の子孫とされ、国津神(くにつかみ)の主宰神(しゅさいしん ※一番偉い人)とされる。
現在は「出雲大社(いずもたいしゃ)」の祭神であり、全国各地の神社で祀られるほか、七福神の大黒天(だいこくてん)と習合(合体して同じ神様とみなす。)され、主に「縁結びの神」として祀られている
オオクニヌシの伝説
オオクニヌシには八十神(やそがみ)と呼ばれる乱暴で横柄な性格が多いたくさんの兄達がおり、柔和な性格だったオオクニヌシは兄達とはそりが合わなかった。
ある日、兄達は女神である八上比売(ヤガミヒメ)への求婚のため、因幡国(いなばのくに)へと向かうことなり、オオクニヌシは兄達の荷物持ちとして付き添いをすることなる。
その道中にオオクニヌシは傷ついた白いウサギ(イナバシロウサギ)を助けると、そのことを見ていた兄達の求婚相手である ヤガミヒメに好かれることに。
そして到着した兄達はヤガミヒメに求婚するが、彼女は兄達の求婚をはね除けてオオクニヌシとの結婚を宣言したのだった。
しかし、このことから兄達に妬まれたオオクニヌシは山のふもとへ連れられると、火で真っ赤に焼いた大岩を上から落とされて殺害されてしまう。
これを知った母である刺国若比売(サシクニワカヒメ)や天津神(あまつかみ ※天上に住む神)である神産巣日之命(カミムスビノミコト)達の協力によって蘇生するが、 今度は山中深くに誘いこまれ、再び兄達に殺されてしまう。
再び蘇生させられたオオクニヌシは、母・サシクニワカヒメ からの助言を受けて大家毘古之神(オオヤビコノカミ)の国に行くことを進めたが、そこにも兄達が押し寄せたため、最終的に根の国(黄泉(よみ)のこと)に逃げ込むこととなる。
スサノオとの関係
根の国 (黄泉) に至り、騒乱から逃れたオオクニヌシは根の国の王となっていたスサノオの元で生活するようになった。
やがてそこで暮らしていく内にスサノオの娘である須勢理毘売命(スセリビメノミコト)と互いに一目惚れし、恋に落ち結ばれる。
だが、貧弱なオオクニヌシがどうにも気に入らないスサノオは様々な試練を与えた。
様々な危険な試練に打ち勝ち、 根の国 (黄泉) での暮らしを続けたオオクニヌシだったが、ある日昼寝をしているスサノオの長い髪を部屋の大きな柱に結びつけ、岩で入口を塞ぐ。
すると、「スサノオの神器」を持ち出して スセリビメノミコトと共に駆け落ちをしたのだった。
怒り狂った スサノオ は境まで追いかけたが、根の国 (黄泉) を出ていく二人に スサノオ は オオクニヌシに向かってこう叫ぶ。
「お前が奪った神器で兄弟神を追い払い、スセリビメノミコトと結婚し大きな宮殿を建てて住め!」
と叫び、荒い激励とともに二人を見送ったのだという。
(オオクニヌシは結構クズなんじゃ…)
その後は奪った神器(じんぎ)を携えて出雲の国(今の島根県)に帰還。
兄達 (八十神) を滅ぼし、葦原中国(あしはらのなかつくに ※地上世界)の王となって国造りを行い、多くの子を設けた。
そして国造りを終えた後はアマテラスへの「国譲り」を経て、「出雲大社(いづもたいしゃ)」の祭神となったという。
女神転生シリーズにおいて
メガテンシリーズでオオクニヌシの名前で正式に悪魔として初登場したのは『偽典・女神転生(1997年)』。
人間の頭を持つ蛇のようなデザインだった。
これは、オオクニヌシの本拠地である「出雲大社(いずもたいしゃ)」では、神在月((かみありづき) ※ 一般的には「神無月(かんなづき)」のことを指し、昔の10月の呼び名。)に八百万の神々を導くオオクニヌシの神使として龍蛇神(りゅうじゃしん)が尊崇されていることから、オオクニヌシも蛇の神ではないかという説から。
それ以前にも『デジタル・デビル物語 女神転生II(1990年)』には別名であるオオナムチ、『真・女神転生(1987年)』にはオオモノヌシとしても登場している。
偽典の頃は蛇としてのイメージだが『真・女神転生Ⅲ(2003年)』以降のシリーズではイケメンとして登場している。
オオクニヌシの関連動画
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タケミナカタ
正式名称は建御名方神(タケミナカタノカミ)。
日本神話の軍事の神であり、狩猟や豊穣の神としての側面も持つ。
大国主神(オオクニヌシ)の御子神(みこしん ※「むすこ」のこと)で長野の諏訪大社(すわたいしゃ)の祭神として祀られている。
タケミナカタの悲劇
天津神(あまつかみ ※天上の世界に住む神)は出雲の大国主神( オオクニヌシ)に対して、下界にある国を譲るよう使者を派遣したが、二度も失敗したため武勇に優れた建御雷神(タケミカヅチ)を直接交渉に向かわせることにした。
タケミカヅチがオオクニヌシに詰め寄ると、彼は子息であるタケミナカタと事代主神(コトシロヌシ)に意向を尋ねるように答え、コトシロヌシはすぐに天津神に従うことを受諾。
しかし、千引の石(千人もの大勢の力を必要とするような巨大な岩)を手先で差し上げながら現れたタケミナカタは不条理な天津神(あまつかみ)の要求を拒否し、タケミカヅチに力競べを申し出た。
そしてタケミナカタはタケミカヅチの手を掴むと、その手は氷や剣に変化し、タケミナカタがこれに恐れて怯んでしまう。
そのことに気付いたタケミカヅチはタケミナカタの手を若葦(ワカアシ※雑草のこと)のように握りつぶして、 両腕を放り投げた。
両腕を失くし敗北した タケミナカタは、落ち延びて信濃国(シナノノクニ)に至ったのだが、そこでさらにタケミカヅチに追い詰められ、諏訪(すわ)の地で天津神(あまつかみ)に服従することをタケミカヅチに誓わされたのであった。
後にタケミナカタは諏訪(すわ)の地をでることを禁じられ、生涯を終えたという。
女神転生シリーズにおいて
『女神転生』の元となる小説『新デジタル・デビル・ストーリー(1990年頃)』で、登場する実はかなりの古参悪魔。
種族は”鬼神”。シリーズによっては 種族”国津神” になることもある。
ゲームでは『真・女神転生(1992年)』が初登場。
『真・女神転生(1992年)』では、ICBMが落とされた東京大破壊から30年後の新宿をおさめるオザワが召喚する仲魔として登場し、主人公達をあっさり負かしてしまう実力を見せつける。
そしてタケミナカタを撃破する為に、カオスヒーローは自身を悪魔合体の材料とする決意を固めさせるなど、シナリオ上重要な悪魔として扱われている。
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ヒトコトヌシ
一言主神(ヒトコトヌシ)
『古事記』や『日本書記』に登場する神で、吉凶を一言で言い放つ託宣(たくせん)・言葉の神。
ヒトコトヌシは「やまびこ」や「こだま」が神として具現化されたものであり、古代では山の神は言葉も司ったという。
奈良県と大阪府の境に位置する「葛城山(かつらぎさん)」の神として祀られていることで有名。
地元では「一言さん(いちごんさん)」として親しまれ、どの様な願い事でも一言の願いならばかなえてくれると信じられている。
『古事記 712年』において
『古事記』には、「葛城山(かつらぎさん)」を訪れた第21代天皇・「雄略天皇(ゆうりゃくてんのう)」の一行がヒトコトヌシと遭遇した話が記載されている。
彼は天皇と同じ姿で登場し、天皇の問いかけに対して同じ言葉を繰り返しては、自分は良いことも悪いことも表現する言葉の神であると名乗った。
天皇は恐れ入り、弓や矢のほか、官吏たちの着ている衣服を脱がさせてヒトコトヌシに献上することに。
ヒトコトヌシはそれを受け取り、天皇の一行を見送った。
とのこと。
『日本書記 720年』において
『日本書紀』では、「雄略天皇(ゆうりゃくてんのう)」がヒトコトヌシに出会う所までは同じだが、自らを「現人の神」だと名乗り、その後共に狩りをして楽しんだと書かれていている。
仙人のような姿だったそうで、天皇と対等の立場になっている。
『日本霊異記(にほんれいいき) 822年』において
記紀(『古事記』や『日本書記』の総称)より時代が降った『日本霊異記(にほんれいいき)』では役小角(えんのおづの ※飛鳥時代(592年~710年)にいた仙人みたいなやつ)によって使役される”鬼神”の一柱として扱われた。
役小角(えんのおづの)は、大阪にある「葛城山(かつらぎさん)」と奈良にある「金峯山(きんぷせん)」に石橋を架けようと国津神に命令して土木工事をさせていたが、ヒトコトヌシは自分の醜い姿を恥じて日中の作業を怠ったため、役小角(えんのおづの)によって谷底に縛り付けられる。
不満を持ったヒトコトヌシは、復讐として「役小角(えんのおづの)は謀反あり」と、朝廷に讒言(ざんげん ※他人をおとしいれるため、ありもしない事を目上の人に告げること)し、役小角(えんのおづの)を捕えさせ、伊豆国(いずこく ※東海道あたり)に配流させた。
しかし役小角(えんのおづの)は後に恩赦を受けて解放され、讒言(ざんげん)したヒトコトヌシを捕えて呪法で縛りつけたという。
女神転生シリーズにおいて
初登場は『真・女神転生(1992年)』で、種族は“鬼神”。
下級の鬼神族悪魔といったかんじ。
『デビルサマナー ソウルハッカーズ(1997年)』において、現在の木の葉が集まった人型のデザインで登場し、以後の作品でもこの姿で通している。
『デビルサマナー 葛葉ライドウ対超力兵団(2006年)』では、「超力兵団計画」に加担する”国津神”の一柱として物語に絡むボス悪魔として登場。
台詞中でも“一言”を強調する。
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