ジャックフロスト
ジャックフロストは「雪」と「氷」でできた体をもった「霜(しも)の精霊」。
「冬」になると可愛らしい姿で人々の前に現れ、笑いながら冷気を吐いて人々を凍らせてしまう恐ろしい性質を持つ。
元々は「小人」や「老人」、「動く雪だるま」といった恐ろしい外見をしていたとされ、現在のような愛らしい姿に変化したのは人間を油断させてより効率よく凍らせるためだと言われている。
ちなみに「春」になると溶けて消えてしまう。
女神転生シリーズにおいて
初登場は『デジタル・デビル物語 女神転生II(1990年)』。
それ以降、全作品に登場している『メガテンシリーズ』のマスコットキャラクター。
デザインは悪魔絵師・「金子一馬(かねこ かずま)」氏で、最初から「マスコットキャラクター」になることを狙ってデザインしたらしい。
『メガテンシリーズ』では「氷結系スキル」を得意とし、「炎」が弱点の低レベル悪魔として登場するのがお決まりである。
基本的に「可愛らしい見た目」に「無邪気な雰囲気」を持つが、性格はけっこう生意気。
語尾に「~ホ」をつけた口調が特徴的で、悪魔らしく時に鋭い言葉を投げかけ、機嫌を悪くした勢いで理不尽に相手を殺そうとする「残忍さ」も持っている。
しかし人間に憧れていたり、純粋で「好奇心旺盛」なところもあってなぜか憎めない。
そんな一筋縄ではいかないキャラクターが人気を博し、
など最も多くの「派生悪魔」が登場していて、これらの悪魔は「フロスト系悪魔」というジャンルを生み出した。
それと相棒のジャックランタンとは仲が良く、シリーズ作品ではコンビで登場することが多い。
二人が主役の”無料メガテンアクションゲーム”『真・女神転生SYNCHRONICITY PROLOGUE(2017)』も開発される人気っぷりである。
(※現在は配布終了したため、ダウンロードできません。)
また、ゲーム以外でも1995年に「ATLUS(アトラス)」と「セガ」の共同開発で製品化して大人気となった「プリント倶楽部(日本初のプリクラ)」にも登場。
操作説明をするキャラクターとして登場し、『メガテンシリーズ』を知らない人々には「プリクラ君」・「プリクラ太郎」という愛称で呼ばれていた。
以上のような人気っぷりから、「ATLUS(アトラス)」の新作が発売されるたびに「広報」に出現し、『メガテンシリーズ』のみならず「ATLUS看板悪魔」と言っていいほどの存在。
ただし最近ではペルソナシリーズのキャラクターである
・モルガナ
・クマ
にその座を奪われつつある。
ジャックフロスト の解説動画
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ジャックランタン
ジャックランタンは「イギリス」に伝わる「鬼火(おにび)」の姿をした”精霊”。
「夜」になると現れ、道行く人を驚かしたり、誘い込んで道に迷わせたりするとされる。
正式名称はジャック・オ・ランタンであり、17世紀のイギリスで使われていた「ランタンを持った男」や「夜警の男」という言葉を指す。
(名前を知らない男性を「ジャック」のような通称で呼ぶことが多かったため、ランタンを持った見知らぬ男をジャック・オ・ランタンと呼んでいた。)
その姿は「ハロウィン」の”かぼちゃランタンのお化け”として知られていて、とても有名。
※「ハロウィン」は、毎年10月31日に開催されるヨーロッパ発祥のお祭り。
秋の収穫をお祝いする日であるとともに、死後の世界と現世とを隔てている扉が開き、「先祖の霊」が戻ってくる日であるともされている。
ちなみにそのときに「悪魔」や「魔女」などの悪い霊も死後の世界からやってくるらしく、人々は仮装することによって「悪霊の仲間」だと思わせて身を守ったという。
(仮装するのはそのため)
現在では子どもたちが「魔女」や「お化け」に仮装して近くの家々を訪れてお菓子をもらったりする風習を指す。
ちなみに「ジャック・オ・ランタン」は魔除けのためのアイテムとされ、飾っておくことで悪霊が家に寄り付かなくなるらしい。
元々は「イギリス」のコーンウォール地方の「ウィル・オ・ザ・ウィスプ」と呼ばれる伝説の「鬼火(おにび)」であり、さまよえる死者の魂とされた。
由来となった「ウィル・オ・ザ・ウィスプ」
「ウィル・オ・ザ・ウィスプ」は、死後の国へ向かわずに現世を彷徨い続けるウィルという名の男の魂のこと。
生前に堕落した人生を送って死んだ鍛冶屋のウィルは、死者を「天国」か「地獄」へ行くか見定める天国の門の管理者であるペトロに地獄行きを通告される。
しかし言葉巧みに彼を説得すると再び人間として生まれ変わり、第二の人生でもウィルは悪行三昧を行って死んだ。
そして死者の門でペテロにまた会うと
「お前はもはや天国へ行くことも、地獄へ行くこともまかりならん」
と「天国」にも「地獄」にも行けないことになり、ただ「現世」を永遠に彷徨い続ける事になった。
そして何百年も彷徨い続けるウィルだったが、あるとき哀れんだ悪魔が彼に地獄の劫火から「燃える石炭」を一つ明かりとして渡す。
するとウィルはくりぬいた「カブ」にその「燃える石炭」を入れてランタンをつくり、それを片手にまた「現世」をさまよいつづけた。
やがてその「石炭の光」が人々に「鬼火」として恐れられるようになり、この伝説が生まれたという。
女神転生シリーズにおいて
初登場は『デジタル・デビル物語 女神転生II(1990年)』。
種族は“外道”だった。
『真・女神転生(1992年)』で種族が“妖精”になり、現在のデザインと、”ヒーホー口調”を手に入れる。
シリーズでは主に序盤の火炎スキル持ち悪魔として活躍する。
また、ジャックフロストの永遠の相棒。
ジャックランタンの関連動画
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ピクシー
ピクシーは「イギリス」南西部に伝わるいたずら好きの小型の”妖精”。
外見については伝わる地方によってまちまちであるが、「陽気」で「いたずら好き」の性格は概ね同じ。
代表的な”いたずら”に「ピクシー・レッド」と呼ばれるものがあり、人間に同じ場所を輪を描くように延々と歩き続けさせるという。
ただ人間にいたずらを仕掛ける一方で「農作業」の手伝いをする面などもあり、”良い精霊”として受け入れられている。
女神転生シリーズにおいて
メガテンシリーズにおける「ヒロイン悪魔」といっても過言ではない看板悪魔の一体。
最初のチュートリアルにて仲魔になり、一緒に戦うことが多い。
序盤の「魔法攻撃」・「回復役」として活躍し、その愛らしさで最後までピクシーと共にゲームクリアを目指すものも少なくない。
ピクシーの関連動画
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ハイピクシー
ハイピクシーは妖精ピクシーの群れの中で、”上位に位置する存在”。
「魔力」や「統率力」を持ったピクシーがハイピクシーと呼び分けられる。
ピクシーたちの住んでいる「遺跡」や「洞穴」などを警護し、外からの攻撃から守る役割を担っていると考えられる。
女神転生シリーズにおいて
初登場は『真・女神転生Ⅱ(1994年)』。
もちろん種族は”妖精”。
『真・女神転生Ⅲ(2003年)』ではピクシーを一定レベルまで育てると変化させることができ、さらに育てると夜魔クイーンメイブに変化させることが可能になる。
デザインは「金子一馬(かねこ かずま)」氏。
上位種としての「HIGH(ハイ)」と「HIGH(ハイ)になっている」をかけて、髪を立てた「イギリスのパンク風女性」をモチーフに描いたと語っている。
パンクロック姉さん。
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オベロン
オベロンは「西洋の伝承」に登場する”妖精”たちの王。
”妖精”の間で起こる全ての「祭事」を司っているという。
妻は妖精の「女王」であるティターニア。
幼いころに受けた呪いによって体の大きさが「少年」のままで止まっているが、実は一番の「年長者」。
その姿は身長が1メートルほどの「醜い老人」か、「端正な小人」とされる。
「魔法」を使うことに長けており、会話をした人間を永久に支配することもできると言われている。
女神転生シリーズにおいて
初登場は『真・女神転生(1992年)』。
”妖精”種族の最上位悪魔として登場した。
他のメガテンシリーズでも、主に“妖精”種族最上位の悪魔として登場している。
高い魔ステータスと攻撃、回復、補助スキルをバランスよく所持するので中々使い勝手が良い。
イベントなどではティターニアと「夫婦喧嘩」をしていることが多い。
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ティターニア
ティターニアは「西洋の伝承」に登場する”妖精”の女王。
「月夜の森」の支配者であり、妖精の王・オベロンの妃(きさき)。
ティターニアの起源は『ローマ神話』の月の女神・ダイアナにあると言われており、「花の妖精」たちを共につけ、月明かりから「魔法」を紡ぐという。
有名になったのはシェイクスピアの『真夏の世の夢』に登場したからで、この作品によって「妖精の女王」としての認知が定着したと言われる。
※『真夏の世の夢』は、シェイクスピアによる喜劇。
「貴族」の「結婚式」の余興として1594年頃に発表された。
内容を簡単に言えば、「夏の夜の森」に入ってきた人々が妖精のいたずらによっておかしなことになるコメディ。
女神転生シリーズにおいて
初登場は『真・女神転生Ⅱ(1994年)』。
種族は”妖精”。
メガテンシリーズでは夫であるオベロンよりも高いステータスとなっており、豊富な魔法・回復・補助スキルを所持する万能悪魔。
しかもオベロンを差し置いて、”妖精”種族の最上位クラスとして扱われることが多い。
この「女王」を作成すると安定してダンジョンを攻略できるので、作って損することはまずない御方である。
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デモニホ
デモニホはジャックフロストがオリジナルの小さなスーツ(デモニカスーツ)に身を包んだ姿。
素性は一切謎に包まれているが、「風の噂」によるとかつては世界各地の作戦にこっそり参加して「任務遂行率100%」の伝説的な功績をあげていた兵士らしい。
最初は憧れだけでこのスーツを着ていたが、過酷な訓練の末に「最強の兵士」へと成長したと言われている。
その姿はジャックフロストお馴染みの愛嬌ある外見をしているが、ナメてかかった者は、泣いたり笑ったりできなくされる。
女神転生シリーズにおいて
初登場は『真・女神転生 STRANGE JOURNEY(2009年)』。
通常出現せず、「悪魔全書」のパスワードシステムに
「ないたりわらったりできなくしてやる」
のパスを打ちこむことで召喚できる「特殊な悪魔」として登場する。
また、追加要素を加えてリメイクした『真・女神転生 DEEP STRANGE JOURNEY(2017年)』にも登場する。
主人公を強靭な戦士に鍛え上げるため、「教官」として様々な試練を与えていく「デモニホブートキャンプ」を行ってくれる。
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ケルピー
ケルピーは「スコットランド」の伝承に登場する妖精。
水棲馬(すいせいば ※ウォーターホース)とも呼ばれる。
※「スコットランド」はイギリスの国のひとつ。
日本でいう「イギリス」は連合国家の総称であり、
・「イングランド」
・「ウェールズ」
・「スコットランド」
・「北アイルランド」
の4つの「国」で構成されている。
ちなみに正式名称は「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」であり、「イギリス」と呼んでいるのは日本だけ。
ケルピーは「スコットランド」地方の水辺に棲み、姿形は”はっきりわからない”が、主に馬に似た姿をしていると伝わる想像上の生き物。
通りがかった「旅人」や「子供」に優しく寄り添い、背中を見せて乗るように促すと、その誘いに乗った者を水の中に引きずり込んで溺死させるという。
そして水中に引き込まれた人間は人肉を好むケルピーに食べられてしまうが、肝臓は食べないので、肝臓以外は遺体があがらないという。
しかし従わせることができれば、ケルピーは最高の駿馬(しゅんめ)として忠実に働くとされる。
ただしあまり酷使するとケルピーに恨まれ、後々まで呪われる羽目になる。
女神転生シリーズにおいて
初登場は『デジタル・デビル物語 女神転生(1987年)』と古参悪魔。
種族は”精霊”だった。
『真・女神転生(1992年)』以降は種族”妖精”となり、『真・女神転生Ⅲ(2003年)』で現在の緑色の体色の上半身だけが存在する馬の姿をしたデザインとなった。
ケルピーの関連動画
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ヴィヴィアン
ヴィヴィアンは『アーサー王伝説』に登場する水の妖精。
「湖の乙女」、「湖の貴婦人」とも呼ばれる。
※『アーサー王伝説』は中世のヨーロッパを舞台にした「騎士道物語」。
5~6世紀にかけてブリテン(現在のイギリス)に実在したという英雄・アーサー王を中心とした長編物語。
ストーリーは大きく四つの部分に分けられる。
1.アーサー王がローマ皇帝を倒し、「全ヨーロッパの王になる物語」。
2.アーサー王のもとに集った【円卓の騎士達】の「冒険とロマンス物語」。
3.イエス・キリストが最後の晩餐で使ったという”聖杯”を「【円卓の騎士】が探す物語」。
4.【円卓の騎士】の中でも最高の騎士であるランスロットと、アーサー王の王妃・グィネヴィアの禁断の恋愛関係から発する「内乱の物語」。
そして「王国の崩壊」とアーサー王の死。
『アーサー王伝説』での活躍
1. 「エクスカリバー」をアーサーに渡す
※アーサーは『アーサー王伝説』の主人公。
だれも引くことができなかった聖剣・「エクスカリバー」を引き抜いてブリテン王となり、数々の伝説を作った。
あるときアーサーはペリノア王との戦いに敗北し、引き抜くことで王として認められた「エクスカリバー」を折られてしまう。
そこで魔術師・マーリンの助言によって「妖精の湖」にきたアーサーは、湖の底から突然現れた妖精・ヴィヴィアンによって「新しいエクスカリバー(二本目)」を渡される。
この二本目の剣こそ「真のエクスカリバー」である。
※マーリンはアーサーに仕えた魔術師。
強力な魔法を使いこなすだけでなく、戦術を考えたり、予知能力をもっているなど何でもできちゃう万能な男。
幼いころからアーサーの良き理解者であり、助言者。
即位に反対する勢力との戦いに助言してアーサーを勝利に導いたり、アーサーをヴィヴィアンの元に導いて「聖剣・エクスカリバー」を授けたりと、さまざまな功績を残した。
ちなみにアーサーだけに仕えたわけではなく、アーサーの4代前から歴代のブリテン王に仕えている。
「エクスカリバー(2本目)」は、伝説によると決して折れないうえに刃も毀(こぼ)れず、千の松明を集めたような輝きを放ち、あらゆるものを両断した。
ちなみにその最大の価値は「剣の鞘(さや)」にあり、「不老不死の加護」によって所持者は「不死身」となる。
この「剣」と「鞘(さや)」がある限り、所持者は無敵であるとされ、アーサーは様々な戦いをこの剣で勝ち抜いた。
2. ランスロットの育ての親
※ランスロットは、アーサーに仕える「12人の円卓の騎士」の一員。
「円卓の騎士」の中でも最高の騎士とされ、彼の右に出るものはいなかった。
しかし主君であるアーサーの妃・グィネヴィアとの不義の恋により、「円卓の騎士」の分裂の一因となった人物でもある。
ランスロットは「フランス」の一地方を治めていたバン王の息子で、両親は共に早くに他界していた。
そこでバン王の死後、幼いランスロットを18歳まで育てたのがヴィヴィアン(「湖の乙女」)である。
やがて成人になった彼は「武者修行」のため「ブリテン島」に渡ると、アーサーと運命的に出会う。
そこで数々の功績を挙げ、彼に仕える「円卓の騎士」の一員となって高名な騎士へと成長。
「湖の騎士」という異名で呼ばれた。
(ヴィヴィアン(「湖の乙女」)に育てられたことから)
3. マーリンを監禁
アーサーとグィネヴィアの「結婚式」に現れたヴィヴィアン(湖の乙女)に惚れたマーリンは、自分の知る魔法の全てをヴィヴィアンに伝えた。
しかし、ヴィヴィアンはマーリンを実は嫌っており、彼女は教えられた魔法によってマーリンを「絶対に脱出できない森」に監禁してしまう。
そしてマーリンは監禁されたまま死を迎えたという。
(この説はヴィヴィアンではなく、ヴィヴィアンの侍女の一人・ニニーヴに夢中になって、ニニーヴに殺されたという説もある。)
これが「ブリテン王国」の国力を大きく削ぐこととなってしまい、滅亡へと繋がってしまう。
まとめ
「エクスカリバー」を渡すなど、アーサーを助けているイメージが強いヴィヴィアンだが、実は「ブリテン王国」滅亡の黒幕という説が存在する。
・アーサーの参謀であるマーリンを嫌悪から封印して殺害して、国力を削ぐ。
・育てたランスロットが不倫によってアーサーを裏切ったことによって、アーサーと【円卓の騎士】たちの間に亀裂をいれ、やがて「ブリテン王国」の崩壊へ招く。
などがある。
アーサーを助ける反面、滅びにも導くなど「謎多き精霊」とされた。
女神転生シリーズにおいて
おそらく『デビルサマナー ソウルハッカーズ(1997年)』が初登場。
あんまり印象にない。
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