オニャンコポン
オニャンコポンは「アシャンティ人」の『神話』に登場する”創造神”かつ”天空神”。
同じ「アシャンティ人」の『神話』に伝わる天国の最高神・ニャメとは同一視されており、別名とされる。
(別名とされるが曖昧な部分が多く、文献によってはバラバラで統一はされていない。)
その名には「偉大な者」という意味があり、「アシャンティ人」の宗教においてすべての精霊はオニャンコポンによって創造されたという。
※「アシャンティ人」は西アフリカの「ガーナ」を中心に住む民族。
17世紀に「アシャンティ王国」を形成して「奴隷貿易」や「金の取引」などで繁栄したが、イギリスとの戦争に負けて植民地として併合された。
現在では「イギリス政府」の許可の下、「ガーナ」の法律によって「ガーナ」内で正式な「立憲君主制王国(りっけんくんしゅせいおうこく)」として認められている。
(王国としては認められているが、政治的・行政的な権限は「ガーナ中央政府」が持っている。)
オニャンコポンの『神話』
かつてオニャンコポンは人間と共に暮らしていたが、石臼(いしうす)で「ヤムイモ」を作っていた老女の手からうっかり飛んでいった杵(きね)がオニャンコポンに当たってしまい、オニャンコポンは空中に住む事にして遠く離れてしまった。
※「ヤムイモ」は主にアフリカで生産されている芋。
味はサツマイモに近いが、ふかすと少し粘りが出てベターっとする。
そこで老女はオニャンコポンに謝ろうと石臼(いしうす)を多くの人に集めさせると、空中まで積み上げて登ろうとする。
ところが石臼(いしうす)一個分が足りず、空中にいるオニャンコポンの元まで届かなかった。
そんな状況で積まれた石臼(いしうす)の塔の一番上にいた老女は、下にいる者に「一番下の石臼(いしうす)を引っこ抜いて上に寄越してくれ」と頼んでオニャンコポンの元へたどり着こうとする。
しかし下の者が石臼(いしうす)を引っこ抜くと石臼(いしうす)の塔は途端に崩れ、老女だけでなくその下敷きで多くの人が亡くなってしまう。
そんな光景を見たオニャンコポンは悲しみ、地上からさらに遠く離れた高い天空へと去っていったという。
女神転生シリーズにおいて
初登場は『真・女神転生V Vengeance(2024年)』。
デザインは二代目悪魔絵師こと、「土居政之 (どいまさゆき)」氏。
見た目とキャラが可愛いだけでなく、名前も可愛い。
関連動画
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カンギテン
歓喜天(カンギテン)は「仏教」の守護神。
※「仏教(ぶっきょう)」はインド発祥の宗教で、「世界三大宗教」の1つ。信者数は世界人口の7%である5億2000万人以上と、世界で4番目に大きな宗教。
人口だけでみると「ヒンドゥー教」が世界で3番目に大きい宗教なのだが、「仏教」のほうが歴史が長いので「世界三大宗教」のひとつとなっている。
「ヒンドゥー教」では、シヴァとパールヴァティの息子である”知恵”と”幸運”の神・ガネーシャに相当し、ガネーシャが「仏教」に取り込まれて成った神。
※「ヒンドゥー教」は、インド発祥の宗教。
信者数は全世界で約11億人以上とされ、人口だけでみれば世界で第3位の宗教。
その姿はガネーシャと同じく頭は”象”で体が”人”であり、一般的にはその姿の”男神”と”女神”がお互いに抱きあっている姿で表されることが多い。
また、お互いに抱きあっている場合の”男神”の方は「歓喜天(カンギテン)」であり、”女神(相手の足の指を踏み押さえている方が女神とされる)”のほうは延命、病気治療などのご利益がある「十一面観音(じゅういちめんかんのん)」が化身した姿とされる。
ちなみにご利益としては
・災いを除く
・男女を仲良くさせる
・子供を授ける
などがある。
しかし「供物(くもつ)」や「感謝」の取り立てが凄まじく、正しい祀り方をしないと「大きな災い」をもたらすという。
女神転生シリーズにおいて
初登場はおそらく『デビルサマナー ソウルハッカーズ(1997年)』。
ガネーシャがいないときに出てくる。
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アメノフトタマ
正式名称は「天太玉命(あめのふとだまのみこと)」。
『古事記』や『日本書紀』に登場する”占い”や”神事(しんじ)”を司る神。
※『古事記(こじき 712年)』は日本に現存する最古の書物。
上・中・下の3巻。
世界のはじまりから神々の出現、そして天皇家の皇位継承の様子が描かれている。
「天武天皇(てんぶてんのう 在位673年~686年)」の意志によって作成がはじまり、約30年後の「元明天皇(てんめいてんのう 在位707~715)」在世中の712年に完成したという。
※『日本書紀(にほんしょき 720年)』は中国の歴史書に倣って、日本でも本格的な歴史書を作ろうという動きの中で作られたもの。
『古事記(こじき 712年)』と並び伝存する最も古い史書の1つで、『神話』も書かれている。
『古事記』や『日本書紀』で出自は書かれていないが、「高御産巣日神(たかむすびのかみ)」の子とされる。
※「高御産巣日神(たかむすびのかみ)」は『日本神話』に登場する最も古い神。
「創造」を神格化した神で、世界の始まりである天地開闢(てんちかいびゃく)の時代にはじめて出現したという。
「大和朝廷(やまとちょうてい)」においては”神事(しんじ)”を司ったとされ、天皇家に仕えていた「忌部氏(いんべうじ)」の祖先ともされた。
※「大和朝廷(やまとちょうてい)」は日本で最初の統一国家とされる「大和国家(やまとこっか)」の中央機関のこと。
「大和国家(やまとこっか)」は4〜7世紀中ごろまで日本で存在した「大和(やまと ※現在の奈良県)」を本拠地とした国。
「大和(やまと)」からそれぞれの地域の大王を盟主とした連合によって形成されていき、最終的に日本列島の大半(東北地方南部から九州南部まで)にまで及ぶ国家となった。
のちにそれらを総称して「大和(やまと)」と呼ばれるようになったので、日本国の別名として「大和(やまと)」が使用されるようになった。
※「神事(しんじ)」は神に関する儀式のこと。
神社で「お祈り」したり、「お祓い」したりするやつ。
※「忌部氏(いんべうじ)」は神を祀り、神事を執り行うことで天皇家に仕えていた氏族のこと。
権力を持ち、有力氏族の一つとされた。
アメノフトタマの神話
天岩戸伝説(あまのいわとでんせつ)において
太陽神であるアマテラスが天岩戸(あまのいわと)に隠れ、世界が暗闇に包まれた際には占いを行った。
やがてアマテラスが岩戸から顔をのぞかせると、アメノウズメとともに鏡を差し出したという。
天孫降臨(てんそんこうりん)において
アマテラスの孫である「邇邇芸命(ににぎのみこと)」が天上から地上に降臨した「天孫降臨(てんそんこうりん)」の際には、「邇邇芸命(ににぎのみこと)」のお供の一人として一緒に地上へ行ったという。
女神転生シリーズにおいて
初登場はおそらく『デビルサマナー ソウルハッカーズ(1997年)』。
だいぶ時を経て、『真・女神転生 STRANGE JOURNEY(2009年)』に再登場した。
鏡もった仮面おじさん。
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カーマ
正式名称はカーマデーヴァ。
「ヒンドゥー教」における”愛の神”だが、煩悩の化身である魔王・マーラと同一視されていて、異名ともされている。
※「ヒンドゥー教」は、インド発祥の宗教。
信者数は全世界で約11億人以上とされ、人口だけでみれば世界で第3位の宗教。
父親は”宇宙の法と正義を司る神”・ダルマ。
母親は”信仰を司る女神”・シュラッダーで、二人の息子。
(時には創造神・ブラフマーの心臓から生まれた息子とされたり、ラクシュミの息子とされる説も。)
妻は”快楽の女神”・ラティと、”喜びの女神”・プリーティ。
その姿は「オウム」に乗った「美男子」であり、「サトウキビで作られた弓」と「先端に花をつけた5本の矢」を持ち、この矢に射られたものは「恋心」を引き起こされるという。
ちなみに「5本の矢」にはそれぞれ名前がある。
・【悩ます】
・【焦がす】
・【迷わす】
・【かく乱する】
・【酔わす】
恋愛と関わりのある名前で、それぞれに対応した「恋心」を引き起こすという。
一説ではカーマを見ただけでも「男女」が欲情するとされた。
この矢で「苦行者」の邪魔をすることもあり、カーマはインドの神々に頼まれたこともあり、修行を行っていたシヴァの邪魔をして焼き殺された。
シヴァとの神話
インドの神々が「シヴァの息子以外には殺されない体」をもつターラカというアスラに悩まされていたとき、シヴァは最初の妻・サティ(パールヴァティの前世)を自殺で亡くし、悲しみのあまり苦行に没頭していた。
そこでサティの生まれ変わりであるパールヴァティとシヴァを結婚させ、ターラカを倒せる子供を作るよう仕向けるためにインドの神々はカーマをシヴァのもとに派遣した。
瞑想するシヴァは「カーマの矢」によって一瞬心をかき乱されたが、すぐに原因を悟る。
そして怒りのあまり「第三の眼」から光線を放ち、カーマを一瞬で焼き殺してしまった。
その後、シヴァとパールヴァティは仲良く結婚。
無事に息子(カルティケーヤとされる)が生まれ、息子はターラカを撃破したという。
忠実に任務を果たしたのに焼き殺され、このエピソードから「アナンガ(身体無き者)」という別名でもよばれるなど、けっこう不憫である。
復活のカーマ
灰にされたカーマだったが、後にヴィシュヌの化身(アヴァターラ)であるクリシュナの息子・プラデュムナとして生まれ、肉体を取り戻す。
だがプラデュムナ(カーマ)に殺されるという予言を受けた悪魔・シャンバラに、生まれたばかりの赤子の状態でさらわれて海に捨てられてしまう。
やがて赤子であるプラデュムナ(カーマ)は「魚」に喰われるが、漁師がその「魚」を捕らえるとシャンバラに献上された。
そして厨房に運ばれた「魚」を料理人がさばいていると、なんと赤子のプラデュムナ(カーマ)が無事に登場。
シャンバラはプラデュムナ(カーマ)とは知らずに「給仕女(妻とも)」であるマーヤーヴァティーに渡すと、彼女はその赤子を大切に育てた。
実はこのマーヤーヴァティーはカーマの前世の妻である”快楽の女神”・ラティで、この赤子が前世の夫であるカーマと気づいていたのだった。
やがてプラデュムナは成長して、悪魔・シャンバラを撃破。
マーヤーヴァティーと結婚し、共にクリシュナのもとに凱旋したという。
女神転生シリーズにおいて
『真・女神転生デビルサマナー(1995年)』で初登場。
シリーズによっては「火炎属性」が弱点となっており、これはシヴァの「第三の眼」に焼かれた伝承を反映している。
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ネコショウグン
猫将軍(ネコショウグン)は「道教(どうきょう)」の”予言”と”海運”の神様。
※「道教(どうきょう)」は、”不老長寿”を究極の理想とする中国でうまれた宗教。
「中国三大宗教」のひとつ。
世界でも珍しい「人の身体」に「猫の頭」をもつ姿をしている。
元々は「毛尚書(まおしょうしょ)」という中国の武将のことだったらしいのだが、「毛(まお)」と「猫(みゃお)」の発音が同じであったため、「猫将軍(みゃおちゃんちん ※日本語でネコショウグン)」という別の神に生まれ変わったとされる。
女神転生シリーズにおいて
初登場は『真・女神転生デビルサマナー(1995年)』。
種族は”秘神”。
中級レベルながらも「知」の値がきわめて高く、お世話になった方も多い。
デザイナーは悪魔絵師・「金子一馬(かねこ かずま)」氏で、愛らしい見た目から人気が高い。
ネコショウグンの関連動画
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キンマモン
キンマモンは「琉球神道(りゅうきゅうしんどう)」に伝わる女神。
※「琉球神道(りゅうきゅうしんどう)」は「琉球王国(りゅうきゅうおうこく)」を中心に信仰されてきた多神教宗教。
主に「太陽神」を”最高神”として崇め、太陽を司るティダが最高神。
※「琉球王国(りゅうきゅうおうこく)」は現在の「沖縄県」にあった国。
1429年に成立し、1879年までの約450年間にわたって存在した。
漢字では「君真物(キンマモン)」と表記され、「最高の精霊」という意味を持つ。
「琉球王国(りゅうきゅうおうこく)」の存亡の危機に降臨する守護神・「君手摩(キミテズリ)」と同一視されており、エピソードが同じなのが多い。
キンマモンの概要
キンマモンは「天地開闢(てんちかいびゃく)」から「琉球王国(りゅうきゅうおうこく)」をずっと守護してきたと言われ、常世の国「ニライカナイ」からやってくるという。
※「天地開闢(てんちかいびゃく)」とは、世界の始まりのこと。
「天」と「地」はもともと一つの混沌としたものであったが、あるときこの二つが分かれたという。
ものすごい前の時代ってこと。
※「ニライカナイ」は”海の底”にあるとされた「理想郷」のこと。
”あの世”や”死後の国”、”命の生まれる場所”とも考えられている。
キンマモンには「陰陽(おんみょう ※裏表ってこと)」があり、同じ存在でありながら二つの神が存在するという。
天より降ってきたのを
「キライカナイノキンマモン」と呼び
海より上ってきたのを
「オホツカケラクノキンマモン」
と呼ぶ。
彼方より時を定めて寄り来るマレビト神であるとも言われており、女性に憑依して人々の前に現れることもあったらしい。
女神転生シリーズにおいて
『デビルサマナー ソウルハッカーズ(1997年)』で初登場。
種族はシリーズ通して”秘神”。
その後もいろいろなシリーズに登場しており、そのインパクトのある見た目から記憶に残っているメガテニストも多い。
キンマモンの関連動画
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カンバリ
正式名称は加牟波理入道(かんばりにゅうどう)。
日本の「俗話」に登場する”妖怪”に近い「厠(かわや※便所)」の神様。
主に近畿圏内の伝承に多く登場し、旧暦大晦日(きゅうれきおおみそか)の夜に「厠(かわや)」でかがんでいると、窓の外から中の様子を覗き込んでくるという。
※旧暦大晦日(きゅうれきおおみそか)は、12月30日、または12月29日。
しかもカンバリは人に見られることが嫌いなため、厠(かわや)に入る前には咳払いをして自身の存在を知らせる必要があり、そうせずにばったり会ってしまうと「尻子玉(しりこだま)」を抜き取られてしまう。
※「尻子玉(しりこだま)」は、肛門のところにあると想像される玉のこと。これを取られたら死んでしまうとされた。
その他にも、「厠(かわや)」で悪い事をするとカンバリに「尻子玉(しりこだま)」を抜き取られてしまうが、大晦日の夜に「カンバリニュウドウホトトギス」と唱えると、翌年1年間は厠(かわや)で”妖怪”に遭遇することがなくなるとされる。
ちなみにカンバリが大晦日の夜に現れる理由は、「新しい年を迎えるに当って旧年の穢れを残していないか」を監視し、警告する意味を持つとされている。
女神転生シリーズにおいて
『デビルサマナー ソウルハッカーズ(1997年)』にて初登場。
スマホ用アプリ『D2 女神転生リベレーション(2018年)』では経験値とマッカが20%アップする唯一の効果を持つ。
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アマビエ
アマビエは「日本」の”疫病封じ”の妖怪。
1846年5月に「肥後国(ひごのくに※現在の熊本県)」海上に出現したとされ、そこで海中から光を輝かせるなどの現象を起こし、「豊作」や「疫病」などに関する予言をしたと伝えられている。
その姿は「長い髪の毛」と「長いくちばし」に、「三本足」が特徴的な「半人半魚の妖怪」。
「疫病退散」のご利益があるとされ、「新型コロナウイルス」が猛威を振るった時(2020年ごろ)にはそのイラストやモチーフとした食べ物などがSNS上で話題となった。
アマビエの伝承
あるとき「肥後国(ひごのくに※現在の熊本県)」では毎晩の様に海中に光るところが出没する。
そこで土地の役人がおもむいたところ、アマビエと名乗るものが出現した。
アマビエは役人に対して、
「当年より6ヶ年の間は諸国で豊作がつづく。」
「しかし同時に疫病が流行するから、私の姿を描き写した絵を人々に早々に見せよ。」
と、予言めいたことを告げると海の中へと帰って行ったという。
ちなみに予言をするだけで「疫病」の流行を鎮めるかについては言及がない。
女神転生シリーズにおいて
『真・女神転生V Vengeance(2024年)』で初登場。
アイドルのような言動が特徴的な”ぷりちー”な悪魔。
アマビエの関連動画
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